JTの飲料事業、サントリーへ譲渡から学ぶ
JTの飲料事業、サントリーへ譲渡
JTの飲料自販機子会社及び飲料ブランド「Roots」「桃の天然水」をサントリーへ譲渡することが発表されました。
JTの戦略
JTは今年2月4日のプレスリリースによりますと、事業規模が優劣を決する飲料市場において飲料事業として更なる成長を目指すことが難しくなったと考え、JTグループとして飲料事業から撤退することとしました。
今後は、メイン事業であるたばこ事業の競争力強化に注力し、医薬事業及び加工食品事業にも中長期的な視野で事業を成長させる考えとのことです。
サントリーの戦略
サントリーとしては、JTの飲料事業の自動販売機を含めた商品供給ネットワークとサントリーの商品開発力のシナジー(相乗効果)を狙って、事業を譲り受けています。
つまり、サントリーの主力事業である飲料事業の競争力強化が目的です。
あなたの会社はJTですか?サントリーですか?
JTは事業の「選択と集中」を図り、中長期的な視点で成長させたい事業に社内資源(ヒト・モノ・カネ・情報)を集中させ、飲料事業からは撤退する決定をしました。
中小企業においても複数事業を行っている場合、中長期的な視点で成長させたい事業に社内資源を集中させるために、非主力事業から撤退することも事業戦略として有効だと思います。
ただし、他社が欲しいと思える事業(収益性・将来性等)でないと、誰も買ってくれません。
一方、サントリーは主力の飲料事業の競争力をさらに強化させるために、他社の事業を譲り受けることにより、一気に商品供給力や商品ブランドを手に入れました。
自社で自動販売機ネットワークを構築することも商品ブランドを増やすことのどちらも時間がかかります。
さらに、商品ブランドについては自社で確立しようとしても成功するかどうかに不確実性があります。
このような時間と不確実性リスクを解決する手段として事業譲受を選択しました。
中小企業においても、本業の競争力を強化するために他社の事業を譲り受けることで時間を買うという戦略も有効だと思います。
ただし、譲り受けるための資金が必要ですし、他社事業の受入体制が整っていないと、シナジーを享受することもままなりません。
事業の譲渡・譲受は会社経営に非常に大きな影響を及ぼします。
そのため、慎重にことを進める必要がありますが、会社が一段と成長するためには非常に有効な手段の一つですので、会社の中期経営計画を作成する際に事業譲渡・譲受を織り込んでみるのも良いかと思います。