不当解雇の金銭解決制度から学ぶ
不当解雇の金銭解決制度
不当解雇の金銭解決制度とは、裁判で「不当解雇」と認められた労働者に対して、企業がお金を払えば退職させることができる制度です。
といいますのも、「不当解雇」とした場合、裁判所は職場に戻ることを命じますが、実際問題として、雇用に関して企業と法廷で争った労働者は職場に戻りにくく、企業も職場復帰を拒むケースが多く、当事者間でお金を払って解決してしまいます。
そこで、労働者と企業との交渉をスムーズに行い、労働者が補償金を受け取りやすくするために制度化することを政府の規制改革会議が提言しています。
労働者と企業の反応は
報道によりますと、労働者の意見を代表するであろう労働組合は、金銭解決制度によって解雇が増えると反発しています。
また、企業は解雇が多い中小企業でコストが増えるとして慎重な姿勢だそうです。
あくまで私見ですが…
上記の労働者と企業の反応のいずれにも違和感を覚えます。
まず、労働組合の意見については、解雇が増えることを懸念しているようですが、そもそも「不当解雇」を行うような会社に働き続けることが良いことなのでしょうか。
むしろ、金銭解決制度をより良い職場を求めるきっかけと捉えた方が良いと思います。
月並みな言葉ですが、「就職」活動で就職したはずの会社に「就社」してしまっている気がします。
それぞれの職場でスキル(=職能)を身に付けることが「就職」だと思いますので、日常的に職能を磨く努力が必要です。
そのため、職能がないと「不当解雇」をするような会社であっても、解雇されたくないという発想に陥ってしまうのではないのでしょうか。
また、企業側の意見としてコストが増えることを懸念しているようですが、「不当解雇」しておきながらコストが増えるというのは筋が通らないと思います。
企業側としては「不当解雇」と認定された以上、速やかに解決するルールができるメリットの方が大きいと思います。
雇用の流動性を活かす
新卒学生の就職活動のニュースを見ますと、相変わらず有名な大企業に偏重しているようです。
その一方で、憧れの大企業に入社した若者が3年以内に、この前のネットニュースでは3か月以内に退職しています。
また、大企業においてもリストラにより中堅~ベテラン社員が転職市場に流入してきます。
「終身雇用制」が終わったと言われて久しいですが、この意味は労働者がより良い職場を求めて転職を行うことにつながります。
そのため、会社は労働者に「働きたい」職場として選ばれなければなりません。
人口が減少する日本において、貴重な労働力をいかにして確保するかは最重要の経営課題です。
労働者にとって遣り甲斐をもって働ける会社として支持されないと、長く発展する会社とはならないでしょう。