ペヤングから学ぶ
ペヤングが全エリアで販売再開
2014年12月に異物混入事件が起きた後、まるか食品はペヤングの生産・出荷を停止しました。
その後、異物混入経路の確認及び再発防止策を行い、2015年6月に関東地区で販売再開、7月には元々販路のあった全エリアで販売を再開しました。
販売再開後の売上は好調で、事件の影響を感じさせないほど顧客からの支持を示しています。
ペヤングから学ぶ品質管理
ペヤングの異物混入事件につきましては、大々的に報道されましたので、ご存知のことと思います。
しかしながら、ニュースというのは、その後の改善策については詳細に報じてくれず、人々の耳目を引く別のニュースに興味が移ってしまいます。
そのような中、まるか食品が打ち出した再発防止策は以下のとおりです。(まるか食品のホームページより)
- 防虫対策としてエアシャワーやエアカーテン等の増設・新設、床の再塗装(耐熱、抗菌効果)等のハード面の改善工事
- 製造ライン過程のセンサーカメラの増設
- 品質管理スタッフの増員、研修会の実施等
- 食の安全・安心への取組状況についてホームページ上での情報開示
また、まるか食品はHACCPの認証取得準備にも着手し、将来的にはISO22000若しくはFSSC22000の取得を目指す予定としています。
再発防止策をご覧になって如何でしょうか。
まるか食品の事件を対岸の火事とせず、自社の予防策に活かせることはありませんでしょうか。
異物混入事件が起きる前、まるか食品の品質管理体制に欠陥があったかどうかは不明ですが、結果として事件が起きてしまった以上、品質管理体制の改善・強化は不可欠です。
あなたの会社で今まで異物混入事件のような不祥事は起きていないと思いますが、今後も起きないように予防するには、他社の再発防止策を参考に自社の品質管理体制を見直す等、常に”より良く”していく取組が必要です。
ペヤングから学ぶブランド力
ペヤングは固定ファンが多く、販売再開後、カップ焼きそばのシェア1位に急浮上したと報じられています。
約7カ月もの間、店頭から姿を消していた商品の再開を多くの消費者が待ち望んでいたのです。
これはヒット商品とか、ブームといった一過性のものではなく、定番商品としてのブランドを確立していたからこそ、起きた事象と考えられます。
食品に限らず、あなたの会社の看板商品やサービスを7か月間もの間、提供できなくても待ち望んでくれる得意先はいますでしょうか。
そんな得意先はいないよと言われる方は、上得意先(得意先の中でも取引歴の長い相手先)を熱烈なファンとなるように知恵を絞らなければなりません。
ペヤングから学ぶBSの安全性
報道によりますと、まるか食品の売上高は約80億円でペヤングはその大半を占めているとのことです。
そのため、7か月間のペヤングの出荷停止は、7か月間の売上ゼロを意味します。
また、異物混入事件の対応として、商品の回収・廃棄費用、再発防止策の費用、設備投資費用等、多額の費用が必要となりました。
そのような状況下においても、金融機関に支援を仰がずに無借金経営を維持しているようです。
事業拡大を行う際、借金という形で外部資本を活用することで大胆な設備投資を行うことが可能となります。
一方、経営危機に陥った際、返済義務のある借入金は会社の資金繰りを苦しめます。
無借金経営が絶対的に正しいというわけではありませんが、まるか食品のような危機に陥った際には無借金であることのメリットが最大限に活かされたと考えます。
あなたの会社で7か月間もの間、主力商品の売上がゼロとなっても資金ショートせず、事業再開できるか、一度シミュレーションしてみては如何でしょうか。
ペヤングの事例をもとに、自社の品質管理体制、ブランド、財務体質を改めて見直すことができますので、是非、参考にしていただけますと幸いです。