東京五輪エンブレム問題から学ぶ
東京五輪エンブレム問題
新国立競技場に続き、東京五輪のエンブレムに関するゴタゴタが連日報道されておりますが、昨日、ついに話題のエンブレムを撤回することとなりました。
インターネット上ではデザイナーの佐野研二郎氏に対する正確な指摘もあるのでしょうが、個人に対する誹謗中傷や嫌がらせも溢れています。
東京五輪のエンブレムをどうするかでメディアやインターネット上で盛り上がるのは良いと思いますが、個人攻撃は建設的でないですね。
報道の在り方やネット社会については、さておき、今回の問題の責任の所在は誰にあるのでしょうか。
発注者と製作者のどちらにも責任がある
今回のエンブレム問題に関していえば、発注者(組織委員会及び審査委員会)、製作者(佐野氏)のどちらにも責任があります。
具体的な責任問題についてはこれから議論されていくことになるのでしょうが、通常の会社経営においても同じことが言えるのではないでしょうか。
発注者をあなたの会社とし、製作者を外注先(下請け工場や販売代理店等も含む)として考えてみます。
外注先に何らかの業務を委託する場合、自社の専門外の領域を委託するケースがあるでしょう。
専門外の領域だからといって、全てを任せてしまうのではなく、法令順守であったり、自社のブランドや信用を傷つける恐れがないかといったことは確認する必要があります。
エンブレムを例にとりますと、デザインそのものについてデザイナーに責任追及することはできるのかもしれませんが、どれだけ責任追及したところで、そもそもの東京五輪開催に対する信頼低下は免れません。
エンブレムを用いたポスターの製作費用やプロモーション活動の費用等、金銭的な賠償が仮にあったとしても、信頼回復には、発注者である組織委員会が自ら率先して行わなければなりません。
あなたの会社において、外注先に何らかの不祥事があった場合、自社のブランドや信用に傷をつく恐れはありませんか。
発注者としてきちんと管理・監督できているか、改めて確認してみては如何でしょうか。
来月通知されるマイナンバーでも外注先の管理が重要
今年の10月に通知されるマイナンバーは社会保障及び税に関する手続に変化をもたらします。
社会保障及び税に関する手続書類の作成事務の全部又は一部を外部に委託する場合、委託先の監督を行う必要があります。
具体的には、①委託先の適切な選定、②委託先に安全管理措置を遵守させるために必要な契約の締結、③委託先における特定個人情報の取扱状況の把握の3点が必要です。
外部に委託することで業務の手間は省略できますが、外部に任せる以上、管理・監督責任が生じることをお忘れなきよう、注意してください。