JR東日本のトラブルから学ぶ
JR東日本のトラブル発生原因について
今年に入って、JR東日本管内で支柱が倒壊したり架線が切断したりと、様々な事故が発生しています。
この問題について、先日の日経新聞では40代のミドル層が欠落したことにより、技術継承に原因があるのではないかと報じています。
また、JR東日本全社員の年齢別分布は29歳以下21.2%、30歳代28.4%、40歳代10.4%、50歳以上40.1%と示されています。
そのため、JR東日本としては今後はITの活用など、ソフト・ハード面を見直して安全意識や技術力の向上を図るとしています。
現場の技術継承問題
先述の年齢別分布において、40歳代の少なさとともに50歳以上の多さも目立ちます。
仮に定年を60歳としますと、あと10年後には、現在の約4割もの社員が現場を離れてしまうことになります。
ITを活用した対策等は、今まで人の手や目で行っていたことをIoT(Internet of Things)の活用によりデータで対応したり、タブレットを用いて遠隔指導したり、これまでのノウハウをマニュアル化したりして、次世代に伝承していくことだと考えます。
現場作業は全てをデータ化したり、マニュアル化したりすることはできませんが、多くの部分をカバーできるものだと思いますので、この10年で最大限の対応をしてほしいものです。
マニュアルの功罪
マニュアルは時として、悪い意味で用いられます。
「マニュアル人間」や「マニュアル社員」といったように、マニュアル通りの対応しかできず、状況に応じた臨機応変な対応が出来なかったり、創意工夫が求められないため向上心が削がれたりするといった点です。
確かにマニュアルは使い方によって、上記のような悪い面が出てしまう可能性があります。
しかしながら、技術継承において、技術や仕事上のノウハウを言語化・データ化することは、会社が半永久的に継続する以上、不可欠です。会社が今日までに直面した様々な成功事例・失敗事例の「経験」は、その会社にしかない貴重な情報です。
その「経験」を個人だけが持つのではなく、会社が組織として共有することで引き継がれていきます。そのためにマニュアルが必要なのです。
あなたの会社にマニュアルはありますか?
おそらく、ほとんどの会社にマニュアルはあるのではないでしょうか。
例えば、レジでの接客マニュアルであったり、経理部の月次や年次処理のマニュアルといったものです。
正式にマニュアルとして文書化していないものであっても、日常的に繰り返し行う作業は実質的にマニュアル化されているものです。
もし、現在文書化していないのであれば、繰り返し行う作業はマニュアルとして文書化し、社内で共有することをお勧めします。
文書化しないと何が標準か分かりませんし、従業員によって解釈が異なり品質にバラつきが生まれます。
そして、一度作成したマニュアルは定期的に見直し、従業員への周知を徹底します。
繰り返し行う作業の技術継承は基本的にマニュアルで対応できますので、マニュアル化に向かないイレギュラーの業務について技術継承する余裕が生まれます。
つまり、メリハリをつけることで効率的かつ効果的に技術継承を行うことができます。
仕事上のノウハウは皆さんが思っている以上に社内で共有されていません。
各々、当たり前と思っているノウハウが隣に座っている同僚にとっては未知のノウハウであったり、その反対もあります。
ノウハウの共有のきっかけの一つとして、社内でマニュアルの整備を進めますと情報共有のスピードが一気に上がります。
なお、社員の創意工夫を促す余地を残していないと、マニュアルが陳腐化してしまいますので、全てをマニュアル化しようとせずに「アソビ」の部分を持たせてみてはいかがでしょうか。