事業承継(後継者)の相談相手
経営者は孤独というけれど
経営者は孤独と言われます。
結局、最後は自分で物事を決めなければいけません。
その意思決定の前に参考となる情報を提供してくれる人がいます。
一般的な相談相手として、顧問税理士・会計士、メインバンク、商工会議所などの支援機関、親族、取引先などが挙げられます。
これらの相談相手にはそれぞれ得意・不得意分野があります。
また、どれだけ有益なアドバイスが得られるかはお互いの信頼関係も影響します。
相談相手の特徴を理解したうえで、一人で悩む前に、周りに相談することで道が開けることもあります。
しかし、会社を承継する予定の後継者となるとどうでしょうか。
後継者は顧問税理士・会計士ときちんと決算や月次試算表について説明を受けていますか。
納税金額や納税スケジュールについてコミュニケーションを取っていますか。
後継者は会計や税務で分からないことが何か分かっていますか。
メインバンクの担当者と後継者は面識がありますか。
信頼関係は築けていますか。
後継者は金融機関別の借入金残高がどれくらいか把握していますか。
また、後継者は社内において、「あの人は将来、社長になるから」と、少し色眼鏡で見られているかもしれません。
このように考えますと、後継者の方が孤独かもしれません。
後継者の相談相手は先代経営者?
後継者は会社経営の相談相手として、一番身近なところに先代経営者がいます。
しかし、これは事業承継における強みにも弱みにもなる諸刃の剣でしょう。
強みとなるのは、誰よりも会社のことを詳しく知っているのが先代経営者ですので、会社の実情を踏まえた的確なアドバイスが得られることでしょう。
一方、弱みとなるのは、先代経営者に頼ることで、事業承継が形ばかりになってしまい、実質的に経営権を承継できていないことになります。
後継者がしっかりと育っていれば、経営権と資産権を承継した時点で、先代経営者はスパッと現場を退き、悠々自適な生活を送るというのも良いでしょう。
後継者がまだ頼りなければ、どうしても先代経営者に尋ねたいことが出てくることもあります。
そういう場合は1年間(どんなに長くても3年間)など、先代経営者に相談する期限を明確に設けることをお勧めします。
何かにつけて先代経営者に相談しているようでは、いつまで経っても一人前の経営者になることはできません。
また、いの一番に先代経営者に相談するのではなく、顧問税理士・会計士やメインバンクなど、先代経営者が頼りにしていた相談相手に後継者も相談して、意思決定の参考にしましょう。
そのために、後継者が会社を正式に継ぐ前から、顧問税理士・会計士やメインバンクなど、社外にも相談相手を増やすよう、コミュニケーションを図っていきましょう。
会社経営について分からないことを忌憚なく質問・相談できる相手がいることは貴重な財産です。