顧問税理士と事業承継
税理士の実態
日本税理士連合会は概ね10年ごとに税理士の実態を調査しています。
直近では2014年(平成26年)4月に第6回税理士実態調査報告書を公表しています。
その中から開業税理士(個人事務所)の調査結果を一部、引用します。
開業税理士の年齢

例えば、開業税理士の現況に関する調査において、税理士の年齢層は「60歳代」が最も多いことが明らかとなっています。
とりわけ、70歳以上の開業税理士が全体の約4分の1も占めていることに驚かされます。
年代別経営助言業務の割合

(上のグラフは調査報告書に掲載されている調査結果をもとに筆者が作成したものです。)
この調査に回答した24,950件中、経営助言業務を行っているのはわずか29.5%の7,363件しか経営助言業務を行っていません。
経営助言業務を行っている開業税理士の年代別割合を見ますと、若手税理士の方が経営助言業務に力を入れていることが分かります。
経営助言業務の主な内容

(上のグラフは調査報告書に掲載されている調査結果をもとに筆者が作成したものです。)
また、経営助言業務を行っている7,363件の税理士事務所が実施している経営助言業務の内容を確認しますと、「経営全般」と「財務」が圧倒的に多いです。
近年、ニーズが高まっている「事業承継・相続」は残念ながらわずか15件しかありませんでした。
経営助言業務の業務報酬の受け方

ちなみに、税理士事務所の大半が顧問報酬に含めて経営助言業務を行っている実態が明らかとなりました。
これは従来の税理士業務の延長線上で経営助言業務を捉えており、高付加価値のサービスとして経営助言業務を確立できていないのではないかと考えます。
開業税理士と税理士法人の違い
上記の調査結果で注意すべき点は、開業税理士(個人事務所)に限定したものであることです。
開業税理士は個人事務所ですので、有資格者が代表者一人で無資格のスタッフを抱える形態が多いです。
中には、個人事務所といっても、所属税理士と呼ばれる有資格者を抱えた事務所もあります。
一方、税理士法人は社員となる税理士が2名以上いないと設立できません。
そのため、税理士法人には必ず複数の税理士がいると思っていただいて構いません。
税理士が複数いることにより事務所の規模が開業税理士より大きくなります。
個人事務所は代表税理士に不測の事態が起きた途端、事業継続が危ぶまれます。
しかし、税理士法人は他の税理士が引き継ぐことができますので、事業継続の安定性が高いです。
また、税務顧問業務は申告期限を当然厳守しますので、税理士業務として優先順位は高くなります。
そうしますと、申告納税ほど期限が明確ではない経営助言業務に関してはやや優先順位が下がってしまいます。
有資格者が経営助言業務にも注力できるためには、事務所に一定の人員数がいないと対応が難しくなります。
従って、開業税理士で経営助言業務に注力している事務所が少ないのも納得です。
あなたの会社の顧問税理士は如何ですか
あなたの会社の事業承継を顧問税理士に相談したいのに、その税理士が70歳以上で税理士事務所の後継者がいなかったら相談できなくなってしまいますよね。
また、何か困ったときに相談したい相手として顧問税理士を思い浮かべても、経営助言業務を基本サービスとして行っていなかったら、不安に感じませんか。
あなたの会社の顧問税理士に一度、事務所の後継者がいるのか尋ねてみてはいかがでしょうか。
顧問税理士も競争の時代です。
どの顧問税理士が良いかはあなたの会社が顧問税理士に何を期待するかによって変わります。
顧問税理士に何も相談しない、ただ申告納税に係る業務のみ依頼したいのであれば、顧問料の安い事務所でもいいでしょう。
しかし、会社の日々のお金の流れを把握し、地域の様々な中小企業の経営動向も把握している税理士・会計士から経営に関するアドバイスを必要とするならば、単純に顧問料の安さで選ぶべきではないでしょう。
ちなみに、当事務所は後継者育成に特化しており、税務顧問業は承っておりません。
税務顧問をご希望の方は当事務所が懇意にしている事務所を紹介させていただきます。