社長=会社のルール?
社長は会社のルールか?
中小企業のオーナー経営者は、会社に関する意思決定をほとんど独断ですることができます。
代表取締役として、100%株主として、会社に関する意思決定を行うことができます。
そのため、その会社で働く従業員はオーナー経営者の意向に逆らうこともできず、オーナー経営者が首を縦に振るか横に振るかを気にするようになります。
しかも、その判断基準がオーナー経営者以外には不明確で、ただの好き嫌いや、その日の気分次第で意思決定してしまいます。
そうするうちに、社長自身が会社のルールとなってしまいます。
共有できないルール
社長自身が会社のルールの場合、そのルールは社内で共有することができません。
そのため、従業員は社長の発言、言動、表情から読み取ったり、ご機嫌を伺ったりして、社長がどのように判断するのか推測しなければなりません。
はっきり言って非常に無駄な時間ですし、誰にとっても不利益しかありません。
社長は独裁者や王様気分を味わえるかもしれませんが、そんなものは百害あって一利なしです。
従業員は社長の意向をくみ取るため労力を割きます。
その結果、お客様対応や取引先対応、新商品の研究開発など、本来会社のためにしなければならないことが二の次になってしまいます。
社長としても従業員にきちんと自分の意向が伝わっていないので、非効率です。
規則を形式だけ揃えても…
「わが社にもルールができました!」と言って、どこかの雛形をコピペしたようなものを見ることがあります。
でも、その雛形って会社の実態に当てはまっていますか。
それとも、これから会社をその雛形に当てはめていくのでしょうか。
会社を雛形に当てはめることができるほど柔軟ならば構いませんが、普通、そのようなことはできません。
従って、形式だけ規則等を揃えても、実行されず、言行不一致になってしまいます。
そうすると、規則等がない時よりも厄介なことに、従業員が会社に対して失望してしまいます。
言行不一致という言葉を使いましたが、要は、嘘つきですよね。
社長が従業員に対して嘘をついてしまうと、その後の言動も全て噓っぽく見えてしまいます。
ルールを作ることは事業承継の第一歩
何でもかんでもルールにすれば良いというものではありません。
しかし、その会社で働く者が判断に迷わないように会社としての方針を明確にしておくことは有用です。
そして、自社の価値観を反映した判断基準を引き継いでもらうためにルールがあると大変便利です。
社長の頭の中に暗黙知としてあったルールを明文化することで、社内で共有することができます。
社内で共有できることは、当然、後継者にも共有することができます。
嘘つきの言行不一致ではなく、言行一致したルールや規則であれば、引き継ぐ価値が十分あります。
今現在、会社に明文化したルールや規則がなければ、白紙から作成しても良いですし、雛形をベースに思いっきり加筆修正しても構いません。
法定のもの以外は誰が見ても分かりやすいことを意識していただけたら良いのではないでしょうか。