目標設定と経営改善の関係
目標設定と経営改善の関係
目標をどの程度に設定するかによって、経営改善の取り組み方が変わってきます。
例えば、来年度の売上目標を前年並みとした場合と、前年の2倍とした場合を比べてみます。
前年並みの売上を達成したいと目標設定すれば、大胆に仕事のやり方を変えようとはしないですよね。
前年と同じように仕事をすることで、同じような売上を達成できるのではと期待する面もありますし、下手に手を加えて売上を下げてしまうのを回避する面もあります。
しかし、世の中が変化し続ける中で、売上を前年並みに維持することも簡単ではありません。
前年、購入してくれたお客様は今年は購入しないかもしれませんし、常連客が他に乗り換えてしまうかもしれません。
近隣に強力な競合他社が現れるかもしれません。
このように考えますと、前年並みの売上を達成したい場合に何をしたら良いのか、このままで良いのか悩んでしまいます。
一方、来年度の売上目標を前年の2倍とした場合、従来の仕事のやり方で達成できないことは明白です。
会社の生産能力を2倍にするのか、営業体制を2倍にするのか、商品ラインナップを2倍にするのか、新規出店を行うのか、新商品を開発するのか、何か大きな変化をしないことには達成できません。
従来のやり方を白紙ベースに戻し、どうすれば前年の2倍の売上が達成できるのかと逆算で仕事を見直さざるを得ません。
ここで、いきなり、売上を前年の2倍なんて無謀だと思われるかもしれません。
確かに急成長中のベンチャー企業以外にとっては無謀な目標だと思います。
それでは、来年ではなく何年後であれば、前年実績売上の2倍を達成できますでしょうか。
3年後?5年後?10年後でしょうか?
5年後の売上を今の2倍にする
ここで、5年後の売上を今の2倍にすることを目標としたとします。
5年後、2022年には今の売上の2倍になることを想像してみてください。
無謀でしょうか?無茶でしょうか?
少なくとも、来年に2倍になるよりかは無謀ではないですよね。
大事なことは、5年後に2倍の売上を達成するために、今、何をすべきかという意思決定が変化することです。
従来の発想の枠組みでは、とても5年後に2倍の売上は達成できないことは明白です。
固定観念や先入観に縛られていないかと見直し、みんなで意欲的なアイデアを出し合い、試行錯誤を繰り返すしかありません。
これは明らかに将来に向けた活動ですよね。
来年の目標を前年並みにしてしまうと、将来に向けた活動を積極的に本腰で行おうとしません。
つまり、目標を大きく設定することで、発想の幅が広がり、前向きに行動していきます。
なぜ、2倍を目標とするのか
正直、5年後に前年度の2倍の売上という目標は達成困難な目標です。
しかし、達成困難だからといって目標を下げてしまっては、発想も陳腐なものとなりますし、社内の士気も向上しません。
なぜ、2倍を目標とするかといいますと、単純に分かりやすいからです。
例えば、現在の主力商品の値段を2倍にすれば、売上は2倍となります。
しかし、2倍に値上げをしたら現在のお客様は買ってくれません。
そこで、2倍の値段でもお客様が満足できるほど、良いモノを作ろうとか、サービスを充実させようといった、これまでの常識にとらわれない発想が必要となります。
あるいは、値段はそのままで売上個数を2倍にすれば、売上は2倍となります。
売上個数を2倍にするには、お客様の数を2倍にする方法があります。
新規顧客をどうやって開拓すれば良いのか、販売促進活動をどうすれば良いのか、お客様にどうやって口コミを広めてもらえるのか、従来のやり方の延長線上ではない発想が必要となります。
または、現在のお客様に1つではなく、2つ買ってもらう方法もあります。
お客様の立場にたって、あともう1つ買いたくなるにはどうしたら良いか、これまでとは異なる発想が必要ですね。
ビジネスチャンスを見出すのも、アイデアが生まれるのも、目標を高く設定することから始まるのではないでしょうか。