できない理由の根拠を考える
できない理由は山ほどある
中小企業の社長に経営改善策を提示した際、開口一番、「できない理由」を話される場合があります。
この「できない理由」は、おそらく、現場の事実であり、現場を良く知る社長の認識でもあります。
ただ、「できない理由」を言ったところで、何かが変わるわけでもありません。
会社の経営状態が上向くわけもなく、時間だけが過ぎ、徐々に悪化していくことが通常です。
ライバル会社の方が自社よりも経営状態が良い理由は、その「できない理由」を解決・突破したか否かなので、「できない理由」を放置する限り、ライバル会社に勝つことはないでしょう。
できない理由は、ホントにできないのか?
「できない理由」って、ホントにできないのでしょうか?
資金不足はできない理由になるのか
例えば、資金不足を理由に経営改善施策ができないことは多いです。
それならば、どのようにして、資金不足を解消しようとしていますでしょうか。
資金不足を嘆く前に、資金不足の解消に努めます。
すると、「できない理由」ではなく、どうすれば資金不足を解消できるのかという「課題」に変わります。
固定観念に縛られていないか
また、この業界ではそのやり方は通用しないと、頭ごなしに決めつけて、「できない理由」にしてしまうこともあります。
遵守しなければならない法令とは異なり、固定観念に縛られるとビジネスチャンスを逃してしまいます。
このようなできない理由は、新しいことに挑戦することを恐れているだけです。
新しいことは予測が出来ず、1回で上手くいくとも思えないため、二の足を踏んでしまうのです。
しかし、自社が新しいことにチャレンジしない間に、経営環境は目まぐるしく変化しますし、他社は新しいことにチャレンジしています。
したがって、これは「できない理由」というよりは「したくない理由」になってしまいます。
「したくない理由」を述べるとき、その代案があればいいのですが、代案なき「したくない理由」は駄々をこねているだけですね。
一度の失敗が全てになっていないか
さらに、昔やったがダメだったから、今やってもダメだ、と決めつけて、「できない理由」にしてしまう場合もあります。
一度の失敗体験を普遍的なものとして、「できない理由」にしてしまうことは、経営改善に際して大きな問題となります。
一つは、社内に新しいことにチャレンジすることを抑制する風潮が出来てしまうことです。
失敗体験を「できない理由」に結びつけてしまうと、新しいことへのチャレンジに取り組む前に、「できない理由」の壁に阻まれてしまいます。
また、失敗体験の原因をきちんと分析しないことも問題です。
本来、失敗体験には何らかの原因があります。
それが外部環境の影響なのか、内部環境によるものなのか、タイミングの問題か、順序の問題か、ライバル会社の動向による影響なのか、社内のミスなのか、何が原因かを突き止める必要があります。
その原因さえ分かっていれば、失敗した当時と現時点では状況が変わっていることに気付くことができます。
当時は上手くいかなかったことが、現在では上手くいくことだってあります。
このように考えますと、失敗体験を普遍的なものと果たして捉えて良いのかと疑問に思うのではないでしょうか。
どうすればできるのかを考える
「できない理由」ではなく、「どうすればできるのか」を考えるのが社長の仕事です。
どんな苦境に陥ろうと、社長はこの事態を打開し、「どうすればできるのか」を必死に考えなければなりません。
この時、「できない理由」を言っている暇はありません。
また、社長の仕事と言っても社長一人で背負うわけではありません。
役員や従業員、社外の専門家、同業者など、様々な人の意見を参考にしながら、意思決定を行うのです。
そのため、「どうすればできるのか」を考える社長は積極的に質問し、「できない理由」を解決すべき課題に変えることができます。