組織図を作ると分かること
組織図を作ると分かること
まず、あなたの会社に組織図はありますでしょうか。
もし、なければ紙とペンを用意して、自分の思う組織図を書いてみましょう。
役職名、部署名に個人名を書いて、そこに主な業務を書いていきましょう。
すると、経営者の担っている業務があまりにも多いことに気付くのではないでしょうか。
営業の最前線を経営者が担い、人事も経営者、資金繰りも経営者、どの部署にも当てはまらない業務も全て経営者が担っている中小企業も珍しくありません。
毎日、毎日、忙しいと思っている方は、組織図を書くことによって、忙しさの原因に気付かされます。
単純に業務量が多いのです。
もちろん、会社によっては経営者ではなく、特定の従業員に業務量が偏っている場合もあります。
その場合は、その従業員に会社を辞められてしまうと、途端に業務が上手く回らなくなってしまいます。
業務の集中する従業員はおそらく社内でエース級の優秀な人材だと思われます。
しかし、優秀な人材ほど難易度の高い業務に集中してもらい、難易度の高くない業務は他の従業員で受け持つことで、より多くの従業員が能力を発揮できます。
経営者のやるべき業務
経営者が得意としている業務は業種・業界に関することで、総務、人事、経理、財務、税務などの管理業務は苦手かもしれません。
苦手とはいっても管理業務は会社に必要不可欠な業務です。
そのため、経営者は管理業務について内容を理解する必要があります。
そして、管理業務の内容を理解した上で、役員や部下に業務を任せる必要があります。
理解しないまま、業務を任せることは「丸投げ」です。
経理、財務、税務を会計事務所に任せる場合も同様です。
ある中小企業の社長に、「前期の売上高や営業利益はいくらですか?」と聞いたら、「税理士さんに聞かないと分からない」と答えられました。
自分の会社に関することを我が事として捉えられないと、大事な数字に対する関心さえ失われてしまうのです。
税理士や公認会計士、社会保険労務士など士業のサービスは積極的に活用してほしいのですが、中身を理解するように努めてください。
また、相手は専門家ですので、分からないことは納得できるまでどんどん質問してください。
後継者として経験すべき業務
自分の会社の組織図ができると、社長や従業員がどのような業務を行っているのか可視化できます。
その上で、後継者としてどの業務を経験すべきか見えてきます。
さきほど、部下や外部に業務を任せるにしても、内容を理解しなければならないと書きました。
そのため、後継者として会社の業務を理解するためには、それぞれの業務を短期間でも経験しておく必要があります。
経験することで、従業員たちが現場でどのような業務を行っているか理解できますので、報告・連絡・相談を受けたときにもきちんと内容を理解できます。
経験していない業務について相談されても、何が問題点なのか、どうすれば解決するのか道筋が見えず、結局、担当者任せになってしまいかねません。
その業務の経験があると想像力が働き、次々と質問することができます。
業務の勘所やツボを心得ているので、的を射た質問を行い、きちんとした相談対応を行えることができます。
補助金の意外な活用方法
毎年、中小企業向けに様々な補助金が出されています。
代表的なものとして、「ものづくり補助金」「小規模事業者持続化補助金」などがあります。
各種補助金の募集要項を確認して、自社が募集要件に該当するのであれば、積極的に申請するのもいいでしょう。
この補助金申請を後継者が一から十まで担当しては如何でしょうか。
自分でインターネット等から補助金の情報を入手して、募集要項を読み込み、必要書類を揃えます。
補助金の申請書の中には、事業計画として過去の決算書の数値を記載したり、事業目的の前提として経営環境分析が求められるものもあります。
つまり、補助金の政策目的として、中小企業が自社の事業環境を理解し、将来の事業計画を立てることでPDCAサイクルを回すこともあります。
したがって、補助金の申請業務をコンサルに依頼してしまっては、せっかく自社の事業環境を理解し、今後の経営に役立てる機会を逸してしまうことになります。
お金を払ってコンサルに任せてしまうよりも、自社の業務を理解する後継者の良い機会とした方が良いのではないでしょうか。