現金管理のポイントは?
1.現金の種類
2.現金管理のポイントは?
2-1.①公私混同しない
2-2.②社長以外の管理担当者を決める
2-3.③現金実査を行う
2-4.④現金出納帳を記帳する
3.電子マネーの取扱いは?
3-1.プリペイド方式の電子マネー
3-2.ポストペイ方式の電子マネー
4.ビットコインの取扱いは?
現金の種類
現金とは、1万円札のような紙幣や100円玉のような硬貨であることに説明は要らないと思います。また、ドルやユーロのような外貨も当然ながら現金です。
上記のように分かりやすい「現金」以外に会計上、「現金」として取り扱うものが以下のように財務諸表等規則ガイドラインに例示列挙されています。
- 当座小切手
銀行に当座勘定口座を持っている取引先から受け取った小切手です。この小切手を銀行に持ち込むことで現金化することができますので、「現金」として取扱います。
なお、先日付小切手(振出日が将来の日付となっているもの)は「現金」ではなく、「受取手形」として処理されます。 - 送金小切手
海外送金の際に用いられる小切手です。
日本国内の金融機関で支払われる小切手を渡しても、受取人は現地で現金化できません。そこで、現地に視点を有する金融機関を支払人とした小切手を振り出すことで、海外に送金することができます。 - 送金為替手形
銀行が振り出した為替手形です。企業が支払いのために銀行に依頼して振り出された手形を買い受け、仕入先等に送付します。仕入先は受け取った送金為替手形を銀行に呈示することで現金化することができます。
- 預金手形
預金小切手の略で「預手(よて)」ともいわれます。当座預金口座を開設していなくても銀行に小切手の振り出しを依頼することができます。また、当座預金口座を開設していても、当座預金口座残高までの小切手しか振り出せないため、多額の現金が必要な際に預金小切手を振り出すことができます。
この場合、銀行が振り出し、支払人も銀行であるため、自己宛小切手に該当します。 - 郵便為替証書
ゆうちょ銀行が振り出した為替です。送金する際にゆうちょ銀行または郵便局の窓口で為替証書の発行を依頼します。受取人は同様に窓口に為替証書を提示することで現金を受け取ることができます。
- 郵便振替払出証書
ゆうちょ銀行に振替口座を持っている人が貯金事務センターに払出証書の発行を依頼します。払出証書は貯金事務センターから受取人に送付されます。受取人は当該払出証書をゆうちょ銀行の窓口等に提示することで現金を受け取ることができます。
- 期限の到来した公社債の利札
利付債において発行される利札は利払日が到来しますと、指定された元利支払い場所に持ち込むことによって現金化することができます。
現金管理のポイントは?
①公私混同しない
基本中の基本ですが、公私混同してはいけません。公私混同している経営者で事業が成功している人を私は知りません。
②社長以外の管理担当者を決める
誰しも自分に甘いところがあると思います。社長も例外ではありません。そのため、社長以外の現金管理担当者を設けて、社内で相互チェックできる体制を整えましょう。
③現金実査を行う
原則として、日々現金残高を金種別に確認します。また、実査担当者とは別に上長が適切に実査されていることを確認する必要があります。
④現金出納帳を記帳する
日々の現金の入出金を記録します。適切に記録されている限り、理論上、現金実査の結果とその日の帳簿残高は必ず一致しなければなりません。
実務上、現金実査の結果と現金出納帳の帳簿残高が合致しない会社は、管理体制が非常に脆弱です。
電子マネーの取扱いは?
電子マネーの普及に伴い、いわゆる「現金」を用いる機会が減少しています。
業務上、電子マネーを用いる機会はまだまだ少ないですが、会計上どのように取り扱われるか整理してみましょう。
プリペイド方式の電子マネー
交通系電子マネーのSuicaやPASMOや流通系電子マネーのnanacoやWAONなどが該当します。
プリペイド方式ですので、事前に現金をチャージすることによって日々利用できるものです。
電子マネーではありますが、性質としては商品券や今となっては懐かしいテレホンカードと同じですので、会計上、チャージ時に「貯蔵品」勘定で処理します。
利用時には「貯蔵品」から取り崩して費消します。
ポストペイ方式の電子マネー
QUICPayやiDなどが該当します。クレジット機能が付されており、電子マネー使用後に利用者の預金口座から引き落とされるものです。クレジットカードと同様の性質ですので、会計上、利用時には「未払金」勘定で処理します。
ビットコインの取扱いは?
平成26年3月7日に内閣が参議院議長宛の答弁書において、ビットコインは通貨に該当せず、「モノ」に該当することが示されました。
ビットコインの法律的性質については他に譲ることとして、会計上の取扱いは、通貨でない以上、「現金」として取り扱わないものと考えます。
取引の代金決済にビットコインを用いる場合、「現金」のように感じられるかもしれませんが、法律上、「現金」とはいえないため、「短期売買商品」として取り扱うものと考えます。
また、投資目的でビットコインを長期所有する場合、投資資産として取り扱うものと考えます。