解雇に関する決まりは?
1.解雇権濫用法理
民法上、期間の定めのない雇用契約の解約の自由を定めています。(民法第627条1項)
しかし、使用者が行う一方的な解約である解雇は労働者に与える影響が大きいことから、解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とします。(労働契約法第16条)
2.解雇制限
そこで、使用者が解雇を行う際に制限を設けています。
具体的には、使用者は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後30日間並びに産前産後の女性に適用される産前産後休業期間及びその後30日間は、解雇してはなりません。(労働基準法第19条第1項)
ただし、使用者が打切補償を支払う場合又は天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合においては、上記の解雇制限の規定は適用されません。
3.解雇予告
次に、使用者が労働者を解雇しようとする場合においては、少なくとも30日前にその予告をしなければなりません。
30日前に予告をしない使用者は、30日分以上の平均賃金を支払わなければなりません。(労働基準法第20条)
4.即時解雇が可能な場合
ただし、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合又は労働者の責に帰すべき事由に基づいて解雇する場合は所轄労働基準監督署長の認定を受けて、即時解雇することができます。
なお、労働者の責に帰すべき事由に該当するものは原則として以下のとおりです。
- 極めて軽微なものを除き、事業場内における盗取、横領、傷害等刑法犯に該当する行為
- 賭博等職場規律を乱し、他の労働者に悪影響を及ぼす行為
- 雇入れの際の重大な経歴の詐称
- 他事業場への転職
- 2週間以上の正当な理由なき無断欠勤
- 出勤不良が改まらない場合