有形固定資産の取得原価とは?
有形固定資産
有形固定資産とは、会社の営業活動のために長期にわたり事業活動に使用される有形の資産です。
有形固定資産の種類
財務諸表等規則において、有形固定資産の範囲が以下のように区分されています。
- 建物(その付属設備を含む):付属設備とは暖房、照明、通風等、建物と一体となった資産です。
- 構築物:ドック、橋、岸壁、桟橋、軌道、貯水池、坑道、煙突その他土地に定着する土木設備又は工作物です。
- 機械及び装置(その付属設備を含む)
- 船舶(水上運搬具を含む)
- 車両及びその他の陸上運搬具:鉄道車両、自動車その他の陸上運搬具及び航空機などです。
- 工具、器具及び備品:耐用年数が1年以上で相当額以上のものです。
- 土地
- リース資産
- 建設仮勘定:建物や機械設備等の完成までの間に資産計上する仮の勘定です。
- その他:山林及び植林、家畜、果樹・立木、骨董品などです。
有形固定資産の取得原価
①購入による取得
会計上、固定資産を購入によって取得した場合には、購入代金に買入手数料、運送費、荷役費、据付費、試運転費等の付随費用を加えて取得原価とします。購入代金に各種費用を取得原価に加えますが、具体的な範囲が明確ではありません。
そこで、法人税法上、取得原価に算入すべき費用の範囲が規定されています。
- 固定資産の取得に関連して支出する地方公共団体に対する寄附等
地方公共団体から土地等の固定資産を取得し、購入の代価の他に寄附した金額が実質的にみてその資産の代価を構成すべきものと認められるときは取得原価に算入します。 - 土地についてした防壁、石垣積み等の費用
埋立て、地盛り、地ならし、切土、防壁工事その他の土地の造成又は改良のために要した費用の額を取得原価に算入します。 - 土地、建物等の取得に際して支払う立退料等
- 土地とともに取得した建物等の取壊費等
取得後おおむね1年以内に当該建物等の取壊しに着手する等、当初からその建物等を取り壊して土地を利用する目的であることが明らかであると認められるときは、取壊しの時における帳簿価額及び取壊費用の合計額を土地の取得原価に算入します。 - 事後的に支出する費用
工場、ビル、マンション等の建設に伴って支出する住民対策費、公害補償費等の費用の額で当初あからその支出が予定されているものについては、たとえその支出が建設後に行われるものであっても取得原価に算入します。
【取得原価に算入しないことができる費用】
- 借入金の利子
固定資産を取得するために借り入れた借入金の利子の額は、取得原価に算入しないことができます。 - 割賦購入資産等の取得原価に算入しないことができる利息相当部分
割賦販売契約によって購入した固定資産の取得価額のうち、購入代価、割賦期間分の利息及び売り手側の代金回収のための費用等が明らかに区分されている場合、その利息及び費用相当額を取得原価に含めないことができます。 - 租税公課
「不動産取得税又は自動車取得税」「特別土地保有税のうち土地の取得に対して課されるもの」「新増設に係る事業所税」「登録免許税その他登記又は登録のために要する費用」は、たとえ固定資産の取得に関連して支出するものであっても、固定資産の取得価額に算入しないことができます。
②自家建設による取得
会計上、固定資産を自家建設した場合には、適正な原価計算基準に従って製造原価を計算し、これに基づいて取得原価を計算します。
③交換による取得
交換に供された自己資産の適正な簿価をもって取得原価とします。自己所有の株式ないし社債等と固定資産を交換した場合には、当該有価証券の時価または適正な簿価をもって取得原価とします。
④贈与による取得
時価等を基準として公正に評価した額をもって取得原価とします。