会社更生とは?
1.会社更生の概要
2.会社更生の流れ
2-1.更生手続開始の申立
2-2.会社財産の保全
2-3.更生手続開始決定
2-4.債権届出・財産評定
2-5.更生計画案提出
2-6.関係人集会及び更生計画の認可
2-7.更生計画の遂行
3.会社更生のメリット・デメリット
4.民事再生との比較
会社更生の概要
会社更生は、窮境にある株式会社について、多くの債権者や株主の利害を適切に調整して会社の事業の維持更生をを図るものです。対象は株式会社に限定され、比較的規模の大きい会社の利用が想定されています。
会社更生の流れ
①更生手続開始の申立
株式会社は以下の事実に該当する場合、自ら更生手続開始の申立を行うことができます。
- 破産手続開始の原因となる事実の生ずるおそれがある場合
- 弁済期にある債務を弁済することとすれば、その事業の継続に著しい支障を来すおそれがある場合
また、資本金の10分の1以上に当たる債権を有する債権者または総株主の議決権の10分の1以上に当たる株式を有する株主も申し立てることもできます。
②会社財産の保全
裁判所は更生会社の財産の処分を禁止した保全処分を命令します。
また、裁判所は利害関係人の申立て又は裁判所の職権により、保全管理人による保全管理を命令することができます。
さらに、裁判所が必要と認めた場合には、破産、民事再生及び特別清算の手続の中止や強制執行、仮差押え、仮処分若しくは担保権の実行等の中止命令を出すこともできます。
③更生手続開始決定
裁判所は以下のような申立棄却事由がない場合は開始決定を出すことになります。
- 更生手続の費用の予納がないとき
- 裁判所に破産手続、更生手続、または特別清算手続が係属し、その手続によることが債権者の一般の利益に適合するとき
- 事業の継続を内容とする更生計画案の作成若しくは可決の見込みまたは事業の継続を内容とする更生計画の認可の見込みがないことが明らかであるとき
- 不当な目的で更生手続開始の申立がされたとき、その他申立てが誠実にされたものでないとき
④債権届出・財産評定
更生手続開始後、強制執行等及び担保権の実行の手続は中止されますので、債権者は債権の回収ができなくなります。
そこで、更生手続に参加しようとする更生債権者及び再生担保権者は期間内に債権及び担保権について届出する必要があります。期間内に届出がない場合はその債権及び担保権は失効してしまいます。
また、管財人は更生手続開始時における貸借対照表及び財産目録等を作成し、裁判所に提出します。併せて、取締役等の責任査定を行います。
⑤更生計画案提出
管財人は裁判所が決めた期間内(開始決定から1年以内)に更生計画案を作成・提出します。
なお、更生計画は担保権、先取特権及び更生債権等の異なる種類の権利について、各権利の優先順位を考慮して公正かつ衡平な差を設けなければなりません。
⑥関係人集会及び更生計画の認可
更生計画案は債権者、担保権者及び株主の決議を得ます。更生計画案の可決要件は以下のとおりです。
更生計画案が可決されると裁判所は認可決定を出し、更生計画が発効します。
⑦更生計画の遂行
更生計画が発効後、管財人は更生計画に基づいた債務の弁済を行います。
会社更生のメリット・デメリット
【メリット】
- 破産、民事再生及び特別清算等の倒産手続よりも会社更生手続が優先されます
- 債権届出のない債権は失効します
- 租税債権等を含めたすべての債権が更生手続に従います
【デメリット】
- 会社財産の管理処分権が管財人に移ります
- 他の倒産手続よりも手続完了までに時間を要します
- 多額の予納金が必要です
民事再生との比較
会社更生と民事再生の主な違いは以下のとおりです。