病気のため職務が執行できないケース
設例
当社(年1回3月決算)の役員が病気のため2か月間入院してしまいました。
そのため、当初予定されていた職務の一部ができない状態になったため、取締役会を開催し、当該役員の役員給与の額を減額することを決議しました。
また、退院後において、以前と同じ職務が可能となったため、取締役会の決議を経て、入院前の給与と同額の給与を支給する改定を行っています。
この場合、会社が役員に支給する役員給与は定期同額給与に該当するのでしょうか。
臨時改定事由
臨時改定事由とは、当該事業年度において当該内国法人の役員の職制上の地位の変更、その役員の職務の内容の重大な変更その他これらに類するやむを得ない事情のことです。
あてはめ
設例のように役員の職制上の地位の変更はないものの、これまで行ってきた役員としての職務の一部を遂行することができなくなったという事実が生じています。
これは職務の内容の重大な変更その他これに類するやむを得ない事情があったものと考えられます。
そのため、臨時改定事由による改定に当たり、定期同額給与に該当することとなります。
恣意性の有無
臨時改定事由による改定は、事業年度開始の日から3か月までにされた定期給与の額の改定時には予測しがたい偶発的な事情等による定期給与の額の改定です。
その中で利益調整等の恣意性があるとは言えないものについても、定期同額給与とされる定期給与の額の改定として取り扱うこととしているものです。
どのような事情が生じた場合が臨時改定事由に当たるかは、役員の職務内容など個々の実態に即し、予め定められていた役員給与の額を改定せざるを得ないやむを得ない事情があるかどうかにより判断することになります。
退院後の役員給与は
退院後、以前と同様の職務が可能となったことにより、取締役会の決議を経て入院前の給与と同額の給与を支給することとする改定についても、「役員の職務の内容の重大な変更その他これに類するやむを得ない事情」に該当します。