清算とは?
1.清算
2.清算手続の分類
2-1.法定清算(通常清算と特別清算)
2-2.任意清算
3.解散と清算の流れ
3-1.①解散決議及び清算人の選任決議
3-2.②解散及び清算人の登記申請
3-3.③官報公告及び債権者に対する催告通知
3-4.④財産目録及び清算貸借対照表の株主総会承認
3-5.⑤残余財産の分配等
3-6.⑥決算報告及び株主総会承認
3-7.⑦清算結了の登記申請
清算
清算は解散した場合等に会社の法律関係を整理し、その財産を処分する手続です。
清算の開始原因は以下のとおりです。
- 解散した場合(合併・破産手続開始の決定以外の原因)
- 設立無効の訴えに係る請求を認容する判決が確定した場合
- 株式移転無効の訴えに係る請求を認容する判決が確定した場合
清算手続の分類
法定清算(通常清算と特別清算)
法定清算とは法律上定められた手続によって財産整理を進めることです。株式会社及び合同会社は法定清算しか認められません。
また、通常清算と特別清算の違いは、清算手続が裁判所の監督外で進められるのが通常清算で、裁判所の監督下で清算手続を進めるのが特別清算です。なお、特別清算は株式会社のみ行うことができます。
任意清算
任意清算とは、定款の定めや総社員の同意によって会社財産を自由に処分できる方法です。合名会社及び合資会社のみに認められています。
ただし、会社の解散事由が破産手続開始の決定や解散命令及び解散判決である場合は任意清算できません。
解散と清算の流れ
株主総会の特別決議により解散した法的清算の基本的な流れは以下のとおりです。
①解散決議及び清算人の選任決議
株主総会の特別決議により解散を決議します。同時に会社は清算株式会社となり、清算人を選任します。清算人は基本的には解散時の取締役がそのまま就任します。なお、定款で定める者及び株主総会決議によって選任された者も就任できます。
清算人は以下の職務を行います。
- 現務の結了(解散当時に継続中であった事務を完了し、取引関係を終了させること)
- 債券の取立て及び債務の弁済
- 残余財産の分配
②解散及び清算人の登記申請
解散日から2週間以内に本店の所在地において解散及び清算人の登記をしなければなりません。
③官報公告及び債権者に対する催告通知
清算株式会社は債権者に対し一定の期間内(通常、2か月)にその債権の申出を行うよう官報に公告し、かつ、知れている債権者には各別に催告しなければなりません。
また、公告には当該期間内に申出をしない時は清算から除斥される旨を付記しなければなりません。清算からの除斥とは、残余財産の分配の対象外となりますので、分配されていない残余財産に対してのみ弁済を請求することができます。
なお、清算株式会社は上記期間内、債務の弁済をすることができません。
④財産目録及び清算貸借対照表の株主総会承認
清算人は、遅滞なく清算株式会社の財産の現況を調査し、清算の開始原因が生じた日における財産目録及び貸借対照表を作成し、株主総会の承認を受けなければなりません。
また、各清算事務年度に係る貸借対照表および事務報告並びにこれらの附属明細書を作成しなければなりません。
⑤残余財産の分配等
清算人は、「残余財産の種類」及び「株主に対する残余財産の割当てに関する事項」を定めなければなりません。
残余財産の種類として金銭のみならず、現物による分配も可能です。ただし、株主は金銭以外の残余財産について金銭に変換してその分配を求めることができます。
株主に対する残余財産の割当に関する事項として、株式数に応じた分配を行うか、種類株式ごとに異なる取り扱いをするかを決定します。
⑥決算報告及び株主総会承認
清算株式会社は清算事務が終了したとき、決算報告を作成し株主総会の承認を受けなければなりません。この承認があった時は、清算人の職務執行に関し不正行為があった場合を除き、損害賠償責任は免除されたものとみなされます。
⑦清算結了の登記申請
清算が結了したとき、株主総会後2週間以内に本店の所在地において、清算結了の登記をしなければなりません。