労働条件の原則とは?
労働条件の原則
労働条件の原則は、労働基準法に以下のように定められています。(労働基準法第1条)
労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない。
労働基準法で定める労働条件の基準は最低のものであるから、労働関係の当事者は、この基準を理由として労働条件を低下させてはならないことはもとより、その向上を図るように努めなければならない。
定義
労働者とは、職業の種類を問わず、事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者をいいます。(労働基準法第9条)
労働条件とは、賃金、労働時間のみならず、労働契約期間や安全衛生といった労働者の職場における一切の待遇を含みます。
労働関係の当事者とは、使用者及び労働者の他に、使用者団体及び労働組合を含みます。
ポイント
この原則のポイントは、労働基準法のこの基準を理由として労働条件を低下させてはならない点です。
例えば、A社が1日の労働時間を7時間としていたが、労働基準法上の1日の労働時間の上限が8時間であることを理由として、所定労働時間を8時間に変更することはできません。ただし、社会経済情勢の変動等他に決定的な理由がある場合には問題になりません。
なぜなら、労働基準法は労働条件の向上を図る趣旨ですので、最低限の基準に合わせるのではなく、更なる改善を求めているためです。
参考情報
なお、労働組合法上の「労働者」と労働基準法上の「労働者」では定義が異なります。
労働基準法においては、上述していますように現実に使用され、賃金を支払われる関係にある者を労働者と定義します。
一方、労働組合法においては、他人との間に使用従属の関係に立って労務に服し、報酬を受けて生活する者をいうため、現に就業していると否とを問わず、失業者も含みます。