【事業承継】後継者育成の方法を専門家が解説します
社長の背中を見ても後継者は社長の仕事を学ぶことはできませんし、社長としての経験も積めません。かといって、手取り足取り後継者に教える時間もありません。そんな時、どのようにして後継者を育成したら良いかという点を、本記事では解説します。
後継者育成の方法は十人十色
社内で育成する方法
・色々な現場を経験すること
・ちょっと難しい仕事を任せてみること
・失敗も含めて経験させること
他社で修行させること
・会社を継ぐ予定で他社修行させる
・親族内承継では非常に有効な手段
社外で育成する方法
・研修機関や後継者塾などに参加する
・後継者育成の専門家を活用する
後継者育成の方法は十人十色
後継者といっても、入社して20~30年も経ち、社長と共に仕事をしてきた人もいれば、新卒で入社してまだ右も左も分からない状態の人もいます。
また、会社の経営状態も好調で資産も潤沢にある会社もあれば、赤字続きで日々、資金繰りに奔走している会社もあります。
そのため、後継者育成も社長と後継者の関係性や会社の経営状況に応じて適切な方法が変わってきます。
社内で育成する方法
会社特有の技術・ノウハウ、人間関係など、その会社でしか経験できないことはたくさんあります。
また、仕事は「習うより慣れろ」という側面もありますので、社内で経験を積むことは後継者育成にとって不可欠な要素です。
色々な現場を経験すること
社長に就任する前に現場の経験を積むことは非常に大事です。
人は経験したことのない領域の仕事を想像することは難しいのですが、一度でも経験しておくと想像しやすくなります。
お店のある会社であれば店頭販売した方が良いですし、工場のある会社であれば製造ラインに入ってみた方が良いでしょう。
後継者育成に余裕があるのならば、それぞれの現場を年単位で経験させることで多くのことを吸収しますし、現場のスタッフと後継者の間に信頼関係を醸成することができます。
時間に余裕がなくても、後継者は現場を体験し、現場を知ることで経営改善のヒントを得ることができますので、是非、現場に行きましょう。
ちょっと難しい仕事を任せてみること
後継者は現社長が現役のうちに、ちょっと難しい仕事を任せてみましょう。
例えば、クセの強い取引先との交渉や不採算事業の撤退など、従業員が積極的にしたくない仕事を率先して後継者に任せましょう。
誰がやっても無難にこなせることを後継者が担当しても、後継者がこれから会社経営をしていく自信は付きませんし、従業員もこの後継者についていきたいとは思いません。
難しいこと、人がやりたくないことに真摯に取り組み、達成できると後継者の自信になります。
また、社内外の人はそのような後継者の姿勢を見ていますので、求心力も高まります。
失敗も含めて経験させること
「経験」の大半は「失敗」に起因するものです。
「成功」は「成功経験」ではなく「成功体験」なので、努力して、試行錯誤して、結果、獲られるものです。
そのため、経験を積ませるとは、数多く「失敗」させることなのです。
「失敗」した時、責任追及したところで会社の成長発展にプラスになることは何一つありません。
それよりも、その「失敗」から何を学べたか、次に何を行えば成功できるのかをつかむことが大事です。
チャレンジしない人は「失敗」できませんので、後継者には積極的にチャレンジしてほしいです。
なお、後継者の本音を聞かずに一方的に育成しようとすると上手くいきませんので、コミュニケーションを定期的にとっていきましょう。
他社で修行させること
社長交代のタイミングまで時間的余裕がある場合は、後継者に他社で修行することは非常に有効な後継者育成の方法です。
修行先の会社は同業でもいいですし、異業種でも構いません。
ただ、可能ならば会社規模は自社よりも大きい方が望ましいです。
なぜなら、後継者にとって会社を成長させる目標の具体的なイメージになり得るからです。
会社を継ぐ予定で他社修行させる
他社修行させる場合、期限を予め設定しておくことが重要です。
いずれ会社を継ぐつもりで、大手企業に就職したら、そっちの仕事が面白くなり、親の会社を継ぎたくなくなることもあります。
そのため、他社修行に送り出す際には、いつかのタイミングで後継者を呼び戻すのではなく、予め「〇年後に入社する」ことを前提とすることが大事です。
親族内承継では非常に有効な手段
親族内承継、特に親子関係の場合、親が社長の会社に子供が入社すると、社内外の人はその子供を後継者とみなします。
そのため、親の経営している会社のみの勤務経験だと、雇われて給料を頂くという感覚を得にくくなり、特別待遇されながら役職だけとんとん拍子に出世することになってしまいます。
したがって、他社でイチ従業員として働くことで、会社・組織がどのように運営されているのかを経験することは、将来、後継者が自社を経営改善していくうえで貴重な経験となること間違いなしです。
社外で育成する方法
社内で後継者に教えられるのは、社内にあるノウハウに限られます。
そこに不足するものは社外から学ぶほかありません。
とりわけ、会計や税務など、実は現社長も不得手としている分野もありますので、社外で体系的に学ぶことをお勧めします。
研修機関や後継者塾に参加する
独立行政法人の中小企業基盤整備機構の運営している中小企業大学校(全国9か所)では、後継者や経営管理者向けの研修コースが用意されています。
筆者も中小企業大学校仙台校で経営管理者向けの研修講師を担当しております。
また、商工会議所・商工会や金融機関の主催する「後継者塾」やセミナーもあります。
後継者が苦手だな、不得手だなと感じる分野については、是非、このような研修に参加して学びましょう。
研修やセミナーに参加した際には、他の受講生と交流を深めると、同じ後継者としての悩みが共有でき、今後の貴重なネットワークとなる可能性もあります。
後継者育成の専門家を活用する
会社経営に必要な知識は書籍やWebサイト、YouTubeなどで集めることができます。
しかし、今現在の会社の状態で、かつ、今現在の後継者に必要なことは何かまで教えてくれません。
そのため、あなたの会社の後継者だけに特化した育成サポートが必要となります。
後継者育成の専門家は後継者に伴走するコーチとして継続して支援することができます。
どの分野でも餅は餅屋ですので、後継者育成に悩まれている場合は、是非、専門家を活用しましょう。
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