継ぎたくない後継者に継いでほしい時、やるべき3つのこと
後継者に継いでほしいけど、後継者は継ぎたくない。事業承継の現場で良くある話です。本記事では、継ぎたくない後継者に会社を継いでほしいとき、やるべき3つのことを解説いたします。
①後継者の本音を引き出す
②会社の業績や将来性を後継者と一緒に考える
後継者自ら会社の未来を描く
会社をゼロから立ち上げることと継ぐことの比較
③後継者が会社を売却しても構わないと覚悟する
現社長の想いを託したいのなら中期経営計画を作る
後継者のサポート役も重要
①後継者の本音を引き出す
後継者はいるのに、その後継者が継ぎたくない理由を明確にする必要があります。
会社の業績、将来性、人間関係、方向性などなど、色々な理由が考えられます。
まずは、後継者の本音を聞き出さないことにははじまりません。
後継者と現社長の関係が親子関係である場合、親子であるが故になかなか本音を言い出しにくいものです。
改まって仕事の話をしても、本音をズバズバというのは憚られるものです。
そこで、第三者の専門家であれば、現社長も後継者もそれぞれ本音を話しやすくなります。
実際のところ、弊所に相談に来られる方も、改めて相談すると、心の奥底にあった本音を言葉にすることで頭の中が整理されたと喜ばれています。
②会社の業績や将来性を後継者と一緒に考える
会社の業績をどのように評価しているかは現社長と後継者で大きく違います。
現社長は様々な困難を乗り越えて今日まで事業を継続してきましたので、苦しくても今後も乗り越えられると考えています。
一方、後継者は業界を斜陽産業と捉えたり、会社の体制が旧態依然として時代に遅れているとネガティブに評価することが多いです。
後継者自ら会社の未来を描く
後継者が会社のことをネガティブに評価する場合、その後継者に会社の未来を描いてもらってください。
明るい未来が描けない、会社は市場の縮小とともにつぶれるだけ、と暗い話しか出てこないなら、その後継者には会社を継がせるべきではありません。
しかし、専門家の助言を得ながら、斜陽産業であっても、これまで培ってきたノウハウや経験、スキルを活用して、拡大するマーケットでビジネスが成立しないか、検討していくと後継者も会社に対して期待が持てるようになります。
会社をゼロから立ち上げることと継ぐことの比較
会社をゼロから立ち上げると、取引先の開拓や従業員の採用など、すべてゼロから始めなければなりません。
全くの白紙から会社経営することと比較すると、現在の会社において、毎年定期的に仕事を依頼してくれる取引先は大変ありがたいですし、金庫番を任せられる経理担当者の存在は大変貴重です。
また、今から会社を起ち上げる人に金融機関は数億円といった大金を貸してくれませんが、承継する会社は数億円の借入金があるかもしれません。
借金が多いのは喜ばれることではありませんが、金融機関が数億円もお金を貸すほど信用してくれている証でもあります。
③後継者が会社を売却しても構わないと覚悟する
現社長は会社経営を後継者に任せた後は、会社が今後どうなっていくか、基本的にはノータッチです。
事業承継した後も、前社長の目が黒いうちは後継者の好きなように経営できないようでは、後継者はあまり継ぎたくないでしょう。
後継者もイチ経営者として、責任をとる以上、経営者としての権限がないと、会社経営の醍醐味を味わえません。
極端な話、後継者が会社を売却しても構わないほどの覚悟がないと、事業承継は進みません。
そのため、会社の将来を後継者に託すと宣言すれば、後継者も自在に会社を経営できるので継ぎたくなる気持ちも出てきます。
現社長の想いを託したいのなら中期経営計画を作る
後継者に権限を与えるにしても、現社長の想いも反映させたい。
そのような時は、後継者に中期経営計画を作ってもらい、その内容を現社長が承認するという流れが望ましいです。
つまり、後継者の考える将来像について、現社長がお墨付きを与えるのです。
後継者のサポート役も重要
見張り番というわけではないのですが、経験の浅い後継者に会社経営の全てを任せるのは不安もあります。
そこで、サポート役として幹部を育成したり、役員を増強したり、外部の専門家を活用したりすることで、後継者の暴走を防ぎます。
後継者の暴走は、後継者自身は正しいことをしていると思い込んでいますので、社内外に適切なブレーキ役がいると、致命傷を負わずに済みます。
すなわち、事業承継を進めるためには、社長交代後の体制を準備することで、安心して後継者に全権を任せることができます。
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