事業承継税制とは?
事業承継税制
事業承継税制とは、中小企業の後継者の方が、現経営者から会社の株式を承継する際の相続税・贈与税の軽減(相続税:80%分、贈与税:100%分)制度です。
制度を活用すべき会社
まず、この制度を活用すべき会社は、貸借対照表の純資産がプラスになっている財政状態の良い会社です。
例えば、純資産1億円で発行済株式数100株の会社の場合、ものすごく単純計算しますと1株当たり100万円の価値があります。
仮に1億円相当の100株を保有していた現経営者が亡くなってしまい、後継者の長男に全株を相続させたとしますと、他の資産負債や法定相続人の状況等にもよりますが、数千万円の相続税額が発生します。
ここで、相続税は相続発生から10か月以内に納税しなければいけませんが、主な資産である自社株は換金することが非常に困難です。
そのため、納税資金を確保するために後継者が四苦八苦してしまいます。
もし、自社株を換金しようとして第三者に売却してしまいますと会社の経営体制が大幅に変わってしまいます。
また、相続税納税のために金融機関から借り入れた場合は、役員報酬の中から返済しなければなりませんので、後継者個人への負担が非常に重くなります。
このように純資産がプラスの会社で相続税の課税対象となってしまう場合、現経営者から後継者に株式を承継する際の税金負担が重く、安定的な事業存続の足枷となってしまいます。
そこで、相続税額の80%分を猶予する事業承継税制の登場です。
この制度を活用しますと、相続時の金銭負担が大幅に軽減されますので、事業存続に与える影響が軽微になります。
また、贈与税の軽減措置もありますが、こちらは生前贈与の際に活用することができます。
今回は事業承継税制の詳細な説明を行っていませんが、この税制を活用する大まかなイメージは以上のとおりです。