みなし退職給与とは?
1.みなし役員退職給与
みなし役員退職給与とは、実際には退職していないにもかかわらず、退職給与として取り扱われ損金算入されるものです。
具体的には、「役員の分掌変更等の場合の退職給与」、「被合併法人の役員に対する退職給与」「使用人が役員となった場合の退職給与」などです。
2.役員の分掌変更等の場合の退職給与
法人が役員の分掌変更又は改選による再任等に際しその役員に対し退職給与として支給した給与のうち、以下のような事実に該当する場合、退職給与として損金算入可能です。
なお、その分掌変更等によりその役員としての地位又は職務の内容が激変し、実質的に退職したと同様と認められる必要があります。
- 常勤役員が非常勤役員(常時勤務していないものであっても代表権を有する者及び代表権は有しないが実質的にその法人の経営上主要な地位を占めていると認められるものを除く。)になったこと
- 取締役が監査役(監査役でありながら実質的にその法人の経営上主要な地位を占めていると認められる者及びその法人の株主等で法人税法施行令第71条第1項第5号≪使用人兼務役員とされない役員≫に掲げる要件のすべてを満たしている者を除く。)になったこと
- 分掌変更等の後におけるその役員(その分掌変更等の後においてもその法人の経営上主要な地位を占めていると認められる者を除く。)の給与が激減(おおむね50%以上の減少)したこと
3.被合併法人の役員に対する退職給与
被合併法人の役員を以下の3つに分類します。
- 合併に際し退職した者
- 合併法人の役員と兼務していた者
- 合併法人の役員となった者
上記の被合併法人の役員に支給する退職給与の額が合併承認総会等において確定されない場合において、以下の要件を満たした場合退職給与として認められます。
- 被合併法人が退職給与として支給すべき金額を合理的に計算
- 合併の日の前日の属する事業年度において未払金として損金経理
4.使用人が役員となった場合の退職給与
法人の使用人がその法人の役員となった場合において、一旦、使用人としての雇用契約を終了し、新たに法人との間で委任契約を締結したと考えます。
従いまして、当該法人の退職給与規程に基づき当該役員に対してその役員となった時に使用人であった期間に係る退職給与として計算される金額を支給したときは、その支給した金額は、退職給与としてその支給をした日の属する事業年度の損金の額に算入します。
なお、支給をした日の属する事業年度ですので、退職給与の支給を決定して未払金処理した時には損金算入することができません。