中小企業の会計に関する基本要領とは?
1.中小企業の会計に関する基本要領
中小企業の会計に関する基本要領(以下、「中小会計要領」という)とは、中小企業の多様な実態に配慮し、その成長に資することを目的として作成されています。
2.対象企業
中小会計要領の利用が想定される会社は以下を除く株式会社です。
(1) 金融商品取引法の規制の適用対象会社
(2) 会社法上の会計監査人設置会社
また、特例有限会社、合名会社、合資会社又は合同会社についても、中小会計要領を利用することができます。
3.特徴
中小企業の会計に関する指針(以下、「中小指針」)と比べて簡便な会計処理を採用しています。
中小会計要領の対象企業の定義は中小指針と同じですが、中小指針よりも小規模な企業でも対応できるものとなっています。
4.各論
中小会計要領は14の項目からなっています。
- ①収益、費用の基本的な会計処理
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- 収益は、原則として、製品、商品の販売又はサービスの提供を行い、かつ、これに対する現金及び預金、売掛金、受取手形等を取得した時に計上する。
- 費用は、原則として、費用の発生原因となる取引が発生した時又はサービスの提供を受けたときに計上する。
- 収益とこれに関連する費用は、両者を対応させて期間損益を計算する。
- 収益及び費用は、原則として、総額で計上し、収益の項目と費用の項目とを直接に相殺することによってその全部又は一部を損益計算書から除去してはならない。
- ②資産、負債の基本的な会計処理
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- 資産は、原則として、取得価額で計上する。
- 負債のうち、債務は、原則として、債務額で計上する。
- ③金銭債権及び金銭債務
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- 金銭債権は、原則として、取得価額で計上する。
- 金銭債務は、原則として、債務額で計上する。
- 受取手形割引額及び受取手形裏書譲渡額は、貸借対照表の注記とする。
- ④貸倒損失、貸倒引当金
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- 倒産手続き等により債権が法的に消滅したときは、その金額を貸倒損失として計上する。
- 債務者の資産状況、支払能力等からみて回収不能な債権については、その回収不能額を貸倒損失として計上する。
- 債務者の資産状況、支払能力等からみて回収不能のおそれのある債権については、その回収不能見込額を貸倒引当金として計上する。
- ⑤有価証券
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- 有価証券は、原則として、取得原価で計上する。
- 売買目的の有価証券を保有する場合は、時価で計上する。
- 有価証券の評価方法は、総平均法、移動平均法等による。
- 時価が取得原価よりも著しく下落したときは、回復の見込みがあると判断した場合を除き、評価損を計上する。
- ⑤棚卸資産
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- 棚卸資産は、原則として、取得原価で計上する。
- 棚卸資産の評価基準は、原価法又は低価法による。
- 棚卸資産の評価方法は、個別法、先入先出法、総平均法、移動平均法、最終仕入原価法、売価還元法等による。
- 時価が取得原価よりも著しく下落したときは、回復の見込みがあると判断した場合を除き、評価損を計上する。
- ⑦経過勘定
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- 前払費用及び前受収益は、当期の損益計算に含めない。
- 未払費用及び未収収益は、当期の損益計算に反映する。
- ⑧固定資産
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- 固定資産は、有形固定資産(建物、機械装置、土地等)、無形固定資産(ソフトウエア、借地権、特許権、のれん等)及び投資その他の資産に分類する。
- 固定資産は、原則として、取得原価で計上する。
- 有形固定資産は、定率法、定額法等の方法に従い、相当の減価償却を行う。
- 無形固定資産は、原則として定額法により、相当の減価償却を行う。
- 固定資産の耐用年数は、法人税法に定める期間等、適切な利用期間とする。
- 固定資産について、災害等により著しい資産価値の下落が判明したときは、評価損を計上する。
- ⑨繰延資産
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- 創立費、開業費、開発費、株式交付費、社債発行費及び新株予約権発行費は、費用処理するか、繰延資産として資産計上する。
- 繰延資産は、その効果の及ぶ期間にわたって償却する。
- ⑩リース取引
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- リース取引に係る借手は、賃貸借取引又は売買取引に係る方法に準じて会計処理を行う。
- ⑪引当金
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- 以下に該当するものを引当金として、当期の負担に属する金額を当期の費用又は損失として計上し、当該引当金の残高を貸借対照表の負債の部又は資産の部に記載する。
・将来の特定の費用又は損失であること
・発生が当期以前の事象に起因すること
・発生の可能性が高いこと
・金額を合理的に見積もることができること - 賞与引当金については、翌期に従業員に対して支給する賞与の見積額のうち、当期の負担に属する部分の金額を計上する。
- 退職給付引当金については、退職金規程や退職金等の支払いに関する合意があり、退職一時金制度を採用している場合において、当期末における退職給付にかかる自己都合要支給額を基に計上する。
- 中小企業退職金共済、特定退職金共済、確定拠出年金等、将来の退職給付について拠出以後に追加的な負担が生じない制度を採用している場合においては、毎期の掛金を費用処理する。
- 以下に該当するものを引当金として、当期の負担に属する金額を当期の費用又は損失として計上し、当該引当金の残高を貸借対照表の負債の部又は資産の部に記載する。
- ⑫外貨建取引等
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- 外貨建取引(外国通貨建で受け払いされる取引)は、当該取引発生時の為替相場による円環残額で計上する。
- 外貨建金銭債権債務については、取得時の為替相場又は決算時の為替相場による円換算額で計上する。
- ⑬純資産
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- 純資産とは、資産の部の合計額から負債の部の合計額を控除した額をいう。
- 純資産のうち株主資本は、資本金、資本剰余金、利益剰余金等から構成される。
- ⑭注記
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- 会社計算規則に基づき、重要な会計方針に係る事項、株主資本等変動計算書に関する事項等を注記する。
- 中小会計要領に拠って計算書類を作成した場合には、その旨を記載する。