取得条項付株式とは?
取得条項付株式
取得条項付株式とは、一定の事由が生じたことを条件として、株式会社が一方的な意思で株主から買い取ることができる株式です。
似たような株式に取得請求権付株式というものがありますが、こちらは株主から会社に対して買取を請求するものです。
普通株式を会社が買い取る場合は、当該株主の同意及び買取価額の合意が必要ですが、取得条項付株式は一定の事由が生じたことを条件として会社の意思のみで買い取ることができます。そのため、会社にとっては少数株主への対応がしやすくなります。
取得条項付株式の発行手続
既存株式の内容変更
定款を変更して全ての株式を取得条項付株式に変更する場合は、株主全員の同意を得なければなりません。
なお、種類株式発行会社がある種類株式だけを取得条項付株式に変更する場合は、当該種類株式の株主全員の同意が必要です。また、ある種類株式の株主に損害が及ぶ恐れがある場合には、当該種類株主総会の特別決議も必要です。
したがって、株主の数が多く、取得条項付株式への変更に反対する株主がいる場合、既存株式の内容変更はほとんどできないでしょう。
新株として取得条項付株式の発行
株主総会の特別決議により新しい種類株式として取得条項付株式を発行できます。
ある種類株式の株主に損害が及ぶ恐れがある場合には、当該種類株主総会の特別決議も必要です。
取得条項付株式を取得した株主は取得条項に合意していますので、将来当該株主との関係が悪化した場合等に会社が一方的に株式を買い取ることができます。
取得条項付株式を取得する流れ
定款の規定の仕方によって大きく三通りに分かれます。
Aパターン
一定の事由が生じた日に当該株式を取得する旨が定款に定められている場合は、会社は当該日に取得条項付株式を取得します。
なお、当該一定の事由が生じた場合には、会社は遅滞なく対象株主に当該事由が生じた旨を通知しなければなりません。
Bパターン
会社が別に定める日が到来することをもって、当該株式を取得する一定の事由と定款に定めている場合には、株主総会で当該取得の日を定めなければなりません。つまり、一定の事由の発生日とは別の日に株式を取得します。一定の事由と別の日として、例えば決算期末時点に設定することが考えられます。
なお、対象株主に取得日の2週間前までに取得日を通知しなければなりません。
Cパターン
取得条項付株式の一部を取得すると定款に定めている場合には、取得する株式を株主総会の決議によって定めなければなりません。そして対象株主に取得する旨を通知しなければなりません。
従って、一定の事由が生じた後に対象株主を決める場合は株主への通知の日に株式を取得しますが、予め株主総会で対象株主が決まっている場合は一定の事由が生じた日に株式を取得します。
なお、取得条項付株式の取得は分配可能額を超えて取得することはできません。