【家族経営】後継者がいないと、どうなる?
後継者不足と騒がれていますが、実際に後継者がいないとどうなるのでしょうか。本記事では、後継者のいない中小企業がどうなってしまうのか、解説いたします。
後継者不在企業は全体の約6割
後継者がいないと、銀行がお金を貸してくれない?
後継者のいない会社に優秀な人材は集まらない
後継者のいない社長は積極的な経営ができない
後継者がいないなら探すしかない
親族にもう一度当たってみる
親族の範囲を広げてみる
役員・従業員が継ぎやすいようにする
M&Aで買い手を探す
後継者不在企業は全体の約6割
2021年の帝国データバンクの調査によりますと、約6割の企業で後継者が不在となりました。非常に高い割合ですが、従来は65%以上でしたので、調査開始後の2011年以降で最低となりました。
コロナ禍で事業環境が激変したことによって、高齢代表の企業を中心に後継者決定の動きが強まったと考えられます。
コロナによって、社長の重い腰がようやく動いたといったところでしょうか。
社長交代は社長自身の健康面に不安を抱えた時に進む傾向がありますので、コロナの影響で社長交代が少し進んだようです。
それでも、以前として6割の企業で後継者がいませんので、事業継続に不安を抱えています。
後継者がいないと、銀行がお金を貸してくれない?
今まで融資をお願いして対応してくれたいた金融機関も、社長が高齢となり、後継者がいなくなると、例え業績が良くても、金融機関の対応は変わってきます。
金融機関の立場に立ってみると分かるのですが、お金を借りたい会社の代表者が返済期間の間、会社の代表として現役を続けられない場合、希望金額を融資することは難しいでしょう。
貸したお金を返済期間内に返してくれる人は誰なのかが、明確にならない限り、お金を貸したくないものです。
また、中小企業で経営者が交代すると会社の競争力は大きく変わってしまいますので、会社としての返済能力も懸念されてしまいます。
後継者のいない会社に優秀な人材は集まらない
後継者のいる会社と後継者のいない会社。
仕事を探している人の立場で比べてみると、後継者のいる会社の方が長く働くことができそうと思いますよね。
とりわけ、中小企業の場合、代々、創業一族が社長を務めているケースが多いですので、社長のご子息が入社していると、多くの人はそのご子息が次の社長だとみなします。
一方、社長に子供がいない、あるいは、社長の子供が明確に継ぐ意思がない場合、一体誰が、次の社長になるんだろうと皆不安がっています。
そのため、社長の親族内に後継者候補がいない場合、役員や従業員の中に後継者候補として育成しておかないと、会社に優秀な人材はあつまりません。
また、後継者候補を育成しないと、今、社内にいる人材のうち、優秀な人ほど他社に転職してしまいます。
後継者のいない社長は積極的な経営ができない
世の中は目まぐるしく変化しています。
新しい技術や新しい商品は次々に登場し、グローバル化した現在、海外からもリアルタイムで新商品や新サービスが届いてきます。
そのような経営環境において、経営者は新しい技術を取り入れるために、機械設備やIT関連など積極的な投資を行わないと、あっという間に会社の競争力が失われてしまいます。
しかし、後継者のいない社長は、自分がリタイアした後の会社の行く末を想像できないため、今後10年20年を見据えた積極的な投資を行わなくなります。
反対に、後継者のいる社長は、後継者のために、より良い会社を引き継がせたいという思いから、積極的な投資を行います。
後継者がいないなら探すしかない
後継者のいない会社の社長に後継者を探しましょう、と言っても、大抵、ウチのような会社に後継者はムリだよ、と諦めムードであることが多いです。
確かに後継者は道端に落ちているわけでもありませんし、誰でも良いわけでもありませんので、後継者を見つけることは簡単ではありません。
しかし、諦めた瞬間、絶対に後継者は見つかりません。
後継者の方から勝手に会社を継ぎたいです、と言ってくれることもありません。
そこで、後継者がいないのならば、本気になって後継者を探しましょう。
親族にもう一度当たってみる
会社を継ぐ、継がないという話は中々即答できるテーマではありません。
そのため、以前、打診して断られた親族であっても、改めて、会社を継ぐことを打診すると、継いでくれるかもしれません。
ただし、ただしつこく聞くのではなく、会社を継ぎたくなるような会社にすることが欠かせません。
会社としての魅力を高めたり、従業員との人間関係のトラブルなどは整理したりしておかないと、後継者候補が現れることもありません。
親族の範囲を広げてみる
親族というと、社長の子供が一番最初に思い浮かびます。
その子供に断られたら、後継者がいなくなったと判断するのは早いです。
例えば、その子供の配偶者や甥・姪など、幅広く後継者候補を捉えることで社長交代は進みます。
また、社長の兄弟姉妹などを中継ぎとして後継者に指名するのもありです。
そして、上記同様、本気で会社を継いでほしい旨を伝えることが大事です。
役員・従業員が継ぎやすいようにする
役員・従業員に対して、会社を継いでくれないかと打診しても、役員・従業員は元々、会社を継ぐつもりがなかったので、なかなか簡単には継いでくれないかもしれません。
しかし、あなたに継いでほしいというメッセージを伝え続けるとともに、役員・従業員が継ぎやすくなるように会社を整理してあげることで、役員・従業員の気持ちが変わるかもしれません。
具体的には、社長の頭の中にある会社の重要事項を文書で残してあげたり、パソコンのデータを整理してあげたりして、役員・従業員が社長の仕事を見て理解できるようにすることです。
また、会社の中期経営計画を役員・従業員を中心に作成し、当該計画の方針に沿って投資意思決定することも非常に大事です。
M&Aで買い手を探す
親族にも社内にも後継者候補がいない時、速やかにM&Aを検討しましょう。
M&Aというと、会社が買収されるので、後継者を探すイメージとかけ離れているかもしれません。
しかし、M&Aによって別の会社の傘下に入ることで、取引先との取引を維持し、雇用も守られるため、会社としての事業が継続するという意味で、M&Aは立派な後継者を探すことになります。
M&A市場は、売り手企業に対して買い手企業の方が多い状態にあります。
また、売上高1億円以下の小さい企業でも、積極的に売買が行われています。
したがって、ウチのような会社がM&Aなんて関係ないと思わずに、どのような会社が売買されているのか、まずは興味を持ってください。
その上で、自分の会社も売り手企業として登録してみると、全国から平均して10社程度の買手からオファーが届きます。
本当にそんなに買い手企業がいるの?と思われるかもしれませんが、本当かどうかを確かめる術は、自分の会社を売り手企業として登録しないと分かりません。
事例企業がどうであろうと、あなたの会社でM&A取引が成立しないと意味がありませんので。
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