株式交換(法務)とは?
株式交換
株式交換とは、株式会社がその発行済株式の全部を他の会社に取得させることをいいます。
発行済株式の全部を取得された会社は完全子会社(持分の全てを特定の会社グループに支配されている会社)となり、取得した会社は完全親会社(持分の全てを支配している会社)となります。
株式交換のイメージ
対価が自己株式の場合
株式交換前資本関係のないA社とB社があり、それぞれ株主甲と株主乙が株式の100%を保有しています。
株主乙はB社株式をA社に譲渡します。
A社はB社株式の対価として、A社の新株を発行するかA社自己株式を交付します。
A社株式とB社株式を交換した結果、B社はA社の100%子会社となります。株主甲と株主乙は共同してA社の株式を保有し、B社はA社を通じて支配します。
対価が自己株式及び現金の場合
株式交換前資本関係のないA社とB社があります。A社の株式は株主甲が100%保有し、B社の株式は株主乙が90%、株主丙が10%保有しています。
株主乙及び株主丙はB社株式をA社に譲渡します。
A社はB社株式の対価として、株主乙に対してA社の新株を発行するかA社自己株式を交付します。
株主丙に対しては、現金を支払います。
A社株式とB社株式を交換した結果、B社はA社の100%子会社となります。株主甲と株主乙は共同してA社の株式を保有し、B社はA社を通じて支配します。
また、株主丙はB社との資本関係が無くなります。
会社法上の決まり
簡易株式交換制度
簡易株式交換制度は、一定の規模の小さい会社を完全子会社化する場合には、完全親会社の株主に与える影響が軽微であるため、完全親会社において、株式交換に関する株主総会の承認を省略できる制度です。
簡易株式交換制度を利用するためには、完全親会社が完全子会社に交付する株式交換の合計金額が完全親会社の純資産額の20%以下である必要があります。
つまり、株式交換の金額が完全親会社の純資産規模が5分の1以下であれば会社法上、影響が軽微として扱うことができるわけです。
ただし、以下の場合には簡易株式交換制度を利用することができません。
- 完全親会社において、株式交換差損が発生する場合
- 完全親会社が譲渡制限株式会社であり、かつ、株式交換の対象株式に譲渡制限が付されている場合
- 完全親会社の株主のうち総株式数の6分の1超の株主が株式交換を反対している場合
なお、完全子会社となる会社にとっての影響は軽微ではありませんので、簡易株式交換制度を利用することはできません。
略式株式交換制度
略式株式交換制度は、90%以上の議決権を保有している子会社と親会社との間における株式交換の場合、ほぼ完全な支配関係があるため、完全子会社となる子会社において株主総会を開催しても結論が変わりようもないため、完全子会社となる会社の株主総会の承認を省略することができます。
これは完全子会社となる会社にのみ適用できる制度ですので、完全親会社となる会社には適用できません。
従って、上記の簡易株式交換鮮度と略式株式交換制度の要件をそれぞれ満たし、かつ、制度を利用した場合、完全親会社及び完全子会社双方の株主総会の承認を省略することができます。